「介護の問題」が抱える問題は高齢化社会が進む日本にとって重要な社会課題の1つです。
今回は、在宅介護の現状と問題点を解説します。
介護の問題点
介護難民の増加
介護難民とは、介護が必要な「要介護者」に認定されているにもかかわらず、施設に入所できず介護サービスを受けられない高齢者を指します。
「日本創成会議」では2015年の予測で「2025年には全国で約43万人が介護難民になる」と発表しました。
介護難民が増える理由として高齢者の増加が挙げられます。
2025年には65歳以上の高齢者人口が総人口の約3割を占めると言われており、高齢者の増加に伴い、要支援・要介護認定を受ける人の数も増加しています。
また、介護に携わる従業員が不足していることもあり、介護難民が増加してしまう要因となっています。
従業員が不足している要因として、賃金問題があります。
医療の現場と同様、ひとつのミスが最悪の場合、死につながるというリスクが高い業界にも関わらず、働いている人はそれに見合った賃金がもらえていません。
早期退職するケースも多く、かつ、若手が入らないために人手不足がなかなか解決しないのが現状です。
このような背景から、介護難民は誰もがなり得る可能性がある問題と言えます。
老々介護
老老介護とは、65歳以上の高齢者が65歳以上の高齢者を介護すること、つまり老人が老人を介護することを意味します。
高齢の夫婦間での介護、高齢の兄弟姉妹間での介護、高齢の子供がさらに高齢の親や身内の介護をするといったケースが該当します。
医療の進歩で日本人の平均寿命が延びたことにより、高齢者が高齢者を介護する状態を生み出しています。
老々介護は認認介護に繋がります。認認介護とは、介護する人と介護される人の双方が認知症を発症しているケースです。
虐待問題
虐待は高齢者の居宅でも養介護施設でも起きています。
「平成 27 年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果」によると、虐待が起きている場所の1位は特別養護老人ホームで全体の30.6パーセント。続いて、有料老人ホームが20.9パーセント、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)が15.9パーセント、介護老人保健施設が9.1パーセント、訪問介護等が6.1パーセントとなっています。
「介護うつ」という言葉があるように、介護は家族に負担となることがあります。迷惑をかけたくないと言った気持ちにより相談せず抱え込んでしまうケースがみられ、精神的にも追い込まれてしまいます。
一人で抱え込まずに家族で話し合って分担する、介護カフェなど介護者の集いに参加して気持ちを共有するといったことも、虐待防止の有効な手立てになります。
高齢者の1人暮らし
高齢者の1人暮らしで大きな問題となるのが「認知症」です。
認知症になると、一人で日常生活を営むことが困難になり、周りの手を借りなければ生活することができません。
そういった認知症を患った高齢者が一人で暮らすことは、近隣住民とのトラブルを招くことにもなり、犯罪や事故などに巻き込まれる危険性もあります。
家族が同居して暮らすことが一番ですが、現実問題として難しいこともあります。
介護保険制度のサービスや、見守りサービスを利用するなどして、高齢者が社会との接点を持つように働きかけることが重要です。
最後に
介護において、適切な相談窓口を知っておくことや事前の話合いを行っておくことで在宅介護に直面した際にも、不安に陥ることが少なくなります。
また、介護者それぞれにとって負担に感じている部分は異なります。
介護うつになる前に周りのサポートを受けられるように、無理をしないようにしましょう。
日本の状況によって、今後どのように在宅介護の現状が変わっていくのでしょうか。
高齢化の影響で関わる方は増えていくことが予想されるため、正しい情報を知っておくことを心掛けていきましょう。

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