FCバルセロナから見るカタルーニャ問題とエル・クラシコ
エル・クラシコとは・・・
レアルマドリードとFCバルセロナ。日本人の皆様でも多くの方が聞いたことがあるのではないかと思います。
この2チームの対戦は・El Clásico・El Clàssicと呼ばれ世界的に注目を集める一戦です。
この両チームの対戦が初めて行われたのは1902年。今から100年以上も前のことです。
今回はその中でFCバルセロナの側から見たクラシコと政治や歴史も関わりを中心にお伝えします。
クラブの立地
さてこのダービーマッチを語る上で初めに見ていただきたいのはこの2チームの本拠地がどこであるかということです。
レアルマドリードは名前の通りスペインの首都マドリードを本拠地としているチームです。
一方のFCバルセロナはカタルーニャ州の州都バルセロナに本拠地を置いています。バルサという愛称でもよく知られています。
クラシコと政治を語る上でキーワードとなるのがこのカタルーニャ州という場所です。
知っておきたいカタルーニャ問題
早くから中央集権化を果たしていた隣国フランスとは対照的に、スペインは伝統的に各地域の権力が強いという国家形成がなされていました。
その中でカタルーニャは独立国家に近い独自の政治体制を敷いていました。
1701年に勃発したスペイン継承戦争で、カタルーニャは当時スペインを支配していたブルボン王朝に対して反旗を翻しましたが、スペイン国王フェリペ5世の軍隊によって陥落しカタルーニャは中央政府の支配を受けることとなります。
この戦争をきっかけにカタルーニャ独自の方言は規制され、独自の支配体制は厳しく規制されることとなりました。
このような弾圧が始まったのが1714年、この年号はクラシコとも大きな関わりを持つので覚えておいてください。
カタルーニャへの弾圧と緩和はその後も繰り返されますが、クラシコに大きな影響を与えたのが、スペイン内戦後に全土を支配したフランコ将軍の存在です。
カタルーニャは、スペイン内戦の際にフランコの敵側勢力となりました。
しかし、この戦争はフランコ側の勝利に終わり、カタルーニャは再び敗北を喫することとなりました。
終戦後、フランコ将軍はカタルーニャ地方に対して土着の言葉であったカタルーニャ語をパブリックな場所で使用することを禁止するなどの厳しい弾圧を行いました。
そのような弾圧を行ったフランコ将軍が愛したクラブが、レアル・マドリードでした。
フランコによるレアル・マドリード贔屓の噂は枚挙にいとまがなく、審判を買収してレアル・マドリードに有利な判定をさせたとか、カップ戦でのクラシコで、官房長官を使ってバルサ側へ圧力をかけレアル・マドリードが大勝させたなどの噂が存在します。
現在のカタルーニャは、一定の自治権やカタルーニャ語の使用などが認められていますが、近年のカタルーニャ独立問題をきっかけにカタルーニャと中央政府の政治的対立の萌芽が再び芽生えているということができます。
クラシコの今
このような歴史を経て、現在のクラシコはどのようになっているのでしょうか。
FCバルセロナのサポーターがホームでのクラシコの際、必ず行う行為をご紹介します。先ほど紹介した1714年というカタルーニャの文化の失われた屈辱の時に合わせ17分14秒になると必ず「independencia」という独立コールが湧き上がります。
また、2017年にカタルーニャ独立騒動が勃発した際には、住民投票の直後にカタルーニャの指導者が起訴され・禁固刑を言い渡されたことへの抗議デモの影響でクラシコが延期されるという事態が発生しています。
この際には、同じバルセロナの街に本拠地を構えるRCDエスパニョールというクラブが判決への言及を避け声明文の発表に留めたのに対し、FCバルセロナは禁固刑への抗議を声明文の一部として発表しました。
このように、FCバルセロナはカタルーニャにとっておらが街のクラブという存在を超えた象徴的存在の役割を果たしていると言えるのではないでしょうか。
カタルーニャの象徴であり、代表であるFCバルセロナと首都マドリードに本拠地を構えるレアル・マドリード。この両チームのダービーマッチ・エルクラシコはそれぞれのクラブとスペインという国の持つ歴史によって現在のような熱い試合になっているのではないでしょうか。
クラシコでの独立コールの動画
最後に
今回はカタルーニャ問題とクラシコの関係について簡単にまとめました。
今後、カタルーニャの独立が本格化・実現するなどの事態に陥れば、レアル・マドリードとFCバルセロナは別の国のクラブとなり、別のリーグに所属することも想定されます。
スペイン国内のダービーとしてのクラシコがいつまで続くかわかりませんが、このダービーを今後も楽しんでいければと思います。
この記事がエル・クラシコというダービーを楽しむ手助けになれば幸いです。

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