【ナゴルノ・カラバフ問題】アゼルバイジャンとアルメニアの軍事衝突について解説
今回は国際的に話題になっているアゼルバイジャンとアルメニアの軍事衝突についての解説です。
アゼルバイジャン、アルメニア〜どこにあるの〜
アゼルバイジャンとアルメニアはともに、ユーラシア大陸のほぼ中央、コーカサス地方にある国です。
どちらもソビエト連邦の構成国でした。
色の薄い部分がアルメニア側の実効支配地域
引用:フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」(ナゴルノ・カラバフ戦争)
アゼルバイジャンはイスラム教徒が人口の97%を占めるイスラム系の国、アルメニアは国教をキリスト教としているキリスト系の国です。
問題になっている「ナゴルノ・カラバフ」
現在両国の戦闘は、アゼルバイジャン領土内の「ナゴルノ・カラバフ」という地域で発生しています。
このナゴルノ・カラバフという地域は古くから、アゼルバイジャンとアルメニアの両国が領有権を主張しており、この地域に住んでいる95%がアルメニア人です。
現在はアゼルバイジャンに帰属し、自治権を地域内のアルメニア人に与えるという形態は、両国が共産化した際にロシアによって決められました。
この地域では過去、1988年から1994年の6年間に渡って約3万人が亡くなった「ナゴルノ・カラバフ戦争」という大規模な戦闘もありました。
この戦争でアルメニアが優位に立った結果、ナゴルノ・カラバフ共和国としてこの地域は事実上独立するのですが、両国の主張は以下の通りです。
アゼルバイジャン側の主張
アゼルバイジャン人は、アルメニア人よりも古くナゴルノ・カラバフを支配していたこの地域一帯の先住者である。
アルメニアの主張
古代アルメニア王国の時代から数千年に渡るアルメニア文化の中心地である。
この地域に居住する人々のほとんどがアルメニア人であるため、この地域はアルメニアに帰属する。
トルコ、ロシアの思惑も
前述した「ナゴルノ・カラバフ戦争」以降もこの地域では膠着状態が続いています。
2016年に軍事衝突が起きて200人が亡くなりました。
今年の7月にも小規模な衝突は起きていたのですが、今回の軍事衝突が大規模なものとなりました。
7月の衝突の後にアゼルバイジャンとトルコが大規模な合同軍事演習を行い、トルコがアゼルバイジャンへの全面的な支援を打ち出していることが大きな要因として挙げられます。
アルメニアと相互防衛協定を締結しているロシアやその他中国などの国々は、アゼルバイジャン及びトルコに停戦を呼び掛けていますが、効果がないのが現状です。
現在、仲裁に当たるべき世界の主要国は自国の新型コロナウイルス対策や、例えばアメリカは大統領選、ロシアはベラルーシ問題や反体制派の毒殺未遂疑惑など、衝突の仲裁に手が回らない状況です。
これを念頭に置いて、アゼルバイジャンとトルコが軍事行動を起こしたとも考えることができます。
最後に
海に囲まれた国である日本で国境紛争はなかなか身近に感じることがないかも知れません。
アゼルバイジャンとアルメニア、民族や宗教の異なる二国間の溝は深く、歴史も関わっているのです。

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