コラム

東京都知事選の見方(小野・山本編)自由主義 VS 社会主義(By Ryuga)

東京都知事選の見方(小野・山本編)~自由主義vs社会主義~

現職の小池百合子都知事の任期満了伴う東京都知事選が18日に告示され、17日間に及ぶ選挙戦が幕を開けました。

今回の選挙戦には、過去最多となる22人が立候補しています。情勢(20日現在)は、毎日新聞と社会調査研究センターの世論調査(「都知事にふさわしいのは」小池氏51%、宇都宮氏10% 毎日新聞全国世論調査 )によると、前評判通り現職の小池百合子氏が優勢となっており、宇都宮健児氏、山本太郎氏、小野泰輔氏が追う展開となっているようです。

ただし、この世論調査はあくまで全国調査であり、対象は都民に限定したものでは無いため、注意が必要です。

いずれにせよ、現職の小池氏の圧勝ムードが漂よっている選挙戦であるのは間違いありません。しかし、日本の首都である東京のリーダーを決める選挙を、小池圧勝の一言で終わらせるべきではありません。

そこで、今回は、小野氏と山本氏に焦点を当て、主要な報道とは違う視点から、選挙戦を分析していきます。

堅実的な小野候補

あまりに勿体ない「行政マン演説」

告示後初の週末となる6月20日、筆者は小野氏の演説会場へと足を運びました。そこで小野氏は、8年間務めた熊本県副知事としての実績や、科学的エビデンスに基づいたコロナ対応の必要性などを、丁寧に訴えていて、小野氏の実務能力、政策立案力の高さを感じると共に、良い意味でも悪い意味でも堅実な印象を受けました。というのも、内容自体のレベルは高いのですが、話し方が一本調子で、会場の一体感や盛り上がりが欠けてしまっているように感じたのです。

これはまさに、元行政マンらしい演説とも言えますが、他の主要候補者と比べて知名度の低さが課題なので、人々を寄せ付ける演説が必要不可欠です。勿論、キャッチコピーを多用する必要はありませんが、いくら良い政策を掲げていても、都民に届かなければ絵に描いた餅でおわってしまいます。間の取り方や、抑揚の付け方など、伝え方を工夫していく必要があるのではないでしょうか。

地味に見えて画期的な政策の数々

小野氏の掲げる政策は、他の候補者と比べると一見地味に思えるかも知れませんが、実は画期的な政策が多々盛り込まれています。例えば、東京都知事選にも関わらず、多極分散型社会の実現による地方創生を掲げている点です。

これは、東京の人・物・金・情報が地方に流れる訳ですから、一見すると、東京都にとって不利な政策に見えるかも知れません。しかし、小野氏は地方と東京の循環を促し、地方と東京が共存・共栄することで、東京が持続可能な都市になると訴えており、筆者はこの点に、特に共感しています。他にも、公営事業の一部民営化や、学校外教育バウチャーの導入、都立大学の無償化等、未来志向かつ攻めの政策が数多く見受けられます。( 政策 – Policy )

また、小野氏は政治手法として、「職員を信頼し、失敗をおそれず都民の幸福のために挑戦する組織文化をつくり、その能力を最大限引き出す」ことを掲げています。このことは大変重要で、小池都政の足らざる点であると筆者は考えます。その証拠に、かつて都庁職員を活かす行政運営を掲げていた石原慎太郎元都知事に比べ、小池都知事に対する都庁職員の評価は30%近く低い数字となっています。優秀な都庁職員を信頼し、いかに上手く動かすことが出来るのかは、まさに都知事の力量そのものではないでしょうか。

投機的な山本候補

心が突き動かされる「メイ演説」

筆者は小野氏の演説会場へ足を運んだ後、山本氏の演説会場へも足を運びました。そこで驚いたのは聴衆の数です。肌感覚ですが、小野氏の10倍程度はいたように感じました。それも若者が多く、通行人が足を止める姿も多く見受けられました。勿論、知名度の違いはあるとは思いますが、元俳優ということもあり、演説の上手さは見事なもので、思わず聴いてみたくなる気持ちも分かります。

正直、筆者は山本氏の政策には共感出来ないものが多いですが、山本氏の血の通った言葉の数々には、思わず心が突き動かされそうになりました。見出しに、「メイ演説」と表記したのは、内容には共感出来ない(迷演説)ですが、演説の上手さは認めざるを得ない(名演説)という意味があります。

美濃部都政の二の舞を演じかねない政策の数々

山本氏の掲げる政策は、一見聞こえは良いかも知れませんが、結局は非現実的な理想論で、財源を気にせず福祉政策を充実させた結果、財政悪化を招いた美濃部都政の二の舞を演じかねないものであると筆者は危惧をしています。例えば、都債発行による15兆の財政出動は、財政悪化を招き、財政破綻にも繋がりかねないものです。(詳細は後述します。)

また、山本氏はキャッチコピーとして「あなたはすでに頑張りすぎている。本当に頑張らなければならないのは政治だ。」を掲げています。このキャッチコピーは、まさに山本氏の思想そのものであると筆者は考えます。例えば、山本氏は都が空き家等を買い上げ、低廉な家賃で貸し出すという政策を主張されています。これは、行政による経済への介入を強めるもので他なりません。このように、山本氏が掲げる多くの政策の根底には、社会主義的思想が存在しているのです。(政策)

国の行く末を占う小野・山本対決

誤解だらけの緊縮批判

近頃、消費増税や、新型コロナウイルス感染症による経済的打撃により、国や地方公共団体が財政の支出規模を縮小すること(緊縮財政)に対する国民の不満が高まってきているのはご案内の通りです。確かに、昨年の10月に消費増税を行ってしまったのは問題であり、国の財政支出における、いわゆる真水が不足していることは否めないと筆者も考えています。(このことは、いずれ詳しく寄稿する予定です。)

ただ、緊縮財政への行き過ぎたアンチテーゼが目立ち始めたことには危惧をしています。そして、その代表的存在がMMTであり、そのMMTを掲げている国政政党が、山本氏率いるれいわ新撰組であると筆者は認識しています。

そのれいわ新撰組公認かつ代表である山本氏は、その思想を地方行政に持ち込んでいると言わざるを得ません。前述の都債発行による15兆円の財政出動(全都民への10万円給付、1年間の授業料免除、中小零細企業・個人事業主の粗利補償など)は、まさにその象徴ではないでしょうか。

山本氏は、他県に比べて東京都の実質公債比率(地方自治体の収入に対する実質的な借金の割合)が低く、20兆円の都債が発行が可能なため、15兆円の都債発行は問題ないという主張をされています。また、多額の都債を発行する際の買い手の問題に関しては、日銀に引き受けさせれば良いとの意見があります。

しかし、引き受けの確証も無く多額の都債を発行することはあまりにリスクが高いのではないでしょうか。それに、国が国債発行を伴う大胆な財政出動が可能なのは、国債を日銀が引き受けることで、結果的に利子が税外収入として政府に戻ってくるからです。即ち、日銀が政府の実質的子会社だからこそ出来るのです。よって、日銀や通貨発行権を持たない地方自治体が、多額の地方債を発行すれば、財政破綻を招くリスクが十二分にあるのです。

対立軸は自由主義か社会主義か

小野氏と山本氏のどちらが多くの票を得るかは、国の行く末を占うものであると筆者は考えています。緊縮財政への行き過ぎたアンチテーゼが目立ち始めていて、今回の山本氏の政策にその思想が反映されているのは前述の通りです。

また、山本氏は都職員の3000人増員と、都庁消防庁の設置による1000人増員を政策に掲げています。これらは、社会主義政策そのものではないでしょうか。対して、小野氏は公営事業の一部民営化など、行政のスリム化を実現し、民間活力を活かす政策を掲げています。つまり、小野氏と山本氏の対立軸は自由主義か社会主義かであり、お二方の勝敗は、今後日本が民間活力を活かす経済社会を進むのか、国家主導の経済社会を進むのかを占うものであると筆者は考えます。

編集後記

3500字を超える長文となってしまいましたが、最後までご一読ありがとうございました!小野氏と山本氏に焦点を当て、主要な報道とは違う視点から、問題提起をさせて頂きましたが、皆さんはどう思われましたか?少しでも、都知事選や政治や経済などのことについて考えるきっかけとなれば幸いです。今回は、初寄稿となりました。これから、少しでもクオリティーの高い記事を提供できるよう全力を尽くしますので、応援の程をよろしくお願い申し上げます!

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Ryuga
Ryuga
2002年千葉県生まれの高校3年生。志望大学合格に向けて受験勉強に取り組む傍ら、SNS等を通じ、政治や経済等を中心に、日々幅広い発信を行っている。中高生活の中心は、陸上競技(長距離種目)で、箱根駅伝出場を目指していたが、諸般の事情で断念し、現在は政治の道を志している。憧れの芸能人は木村拓哉で、「政界のキムタク」へとなる第1歩として、当サイトのNo.1 インフルエンサーになることを目指し、受験生ながらライター活動を始動!

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